鯨にはオキアミや小魚を餌とするひげクジラと、いかや魚を餌とする歯クジラの2種類がいます。 日本人は古来より鯨を貴重な食料と見なし、平安時代にはすでに食料のリストにのぼっています。 鯨肉は塩漬けにしておけば魚より長持ちがします。味がよいので肉は勿論のこと 内臓、本皮、畝、尾羽にいたるまで頭の先端から尾まで食用としてきました。 クジラの各部位がどのような料理に使われているか紹介いたします。
 
松浦漬

赤身の刺身


ステーキ 

カツ


竜田揚げ  

本皮の刺身

尾の身の刺身
鯨の頭骨の中心にある骨の中にある軟骨をかぶら骨という。
松浦漬けは、このかぶら骨をせん切りにし粕漬けしたもの。
クジラのほとんどの部分が赤身で、その割合は30~40%を占める。クジラの一番の食べ方はなんと言っても刺身。
その他、たたき、ステーキ、竜田揚げ、カツ、すき焼き鍋、ハリハリ鍋、南蛮漬け、コロッケ、お茶漬けなど多様な食べ方がある。
クジラをおおう厚さ4~6cmの脂肪層。食感が豊か。刺身にするか、お湯で軽くボイルし、酢みそ、ぽん酢で食べる。また、季節の野菜と炊いたり、ブタ汁風の味噌汁のだしにも最適です。 背びれから尾羽までの背中側の部分で、肉が霜降状になった良質な肉を尾の身といい、もっとも美味な部位である。その美味さはトロを上回ると言われる。










鯨の舌をさえずりという。鯨の舌は脂肪分がとても多く、舌といってもその大きさは巨大。舌の根元と先では味、歯ごたえもだいぶ変わってくる。牛タン以上の絶妙な美味しさといわれている。

下あごの付け根の畝がついている部分の内側にある 鹿の子状の部分を鹿の子という。尾の身より少し固めではあるが、脂肪の中に赤い肉が点々と散らばった様子は非常に美しく食欲をそそる。うすくスライスし、すきやき鍋に用いるといっそう美味しい。

ヒゲクジラの下アゴから腹部にかけて走るアコーディオン状の白い部分を畝(うね)、その内側の赤い部分を須の子(すのこ)といい、この二つが一緒になった物が畝須。軽く塩漬けにし、ボイルした物を「ベーコン」という。独特の歯切れのよさが人気。

クジラの小腸をボイルしたもの。
薄く輪切りにして、ぽん酢酢味噌で食べる。グルメ絶賛の珍味。

尾びれの部分の脂肪質の白色の肉で、塩漬けにしたもの。 薄くスライスし、ボイルするとちりちりとなり、雪のように真っ白な姿と独特の歯ごたえが楽しめる。これを「さらしくじら」という。下関では「おばいけ」、関東・関西では「尾羽毛(おばけ)」ともいう。

さえずり

鹿の子の刺身

ベーコン

百ひろ

さらしくじら




クジラ肉は、美味しいのはもちろんのこと、栄養面でも他の食材と比べ高タンパク・低脂肪・低カロリーと三拍子そろった体にやさしいヘルシーなお肉です。



血液中のコレステロールが多いと動脈硬化など成人病の原因となりますが、クジラ肉にはコレステロールの含有量が比較的少なく、また、クジラベーコンなどの油脂に含まれる脂肪酸には血栓を予防してくれるエイコサペタエン酸(EPA)や頭の働きを良くするドコサヘキサエン酸(DHA)が多く含まれています。



鉄には血中の酸素を運搬する重要な役割があり、不足すると貧血や疲労の原因となります。クジラ肉には吸収性の良いミオグロビン鉄が多く含まれており、特に慢性的に鉄分の不足しがちな若い女性にとって大変良い供給源です。



食物アレルギーに苦しむ患者さん達にとってクジラ肉はアレルギー症状を起こすことが比較的少ない、安全で貴重なタンパク源として期待されています。


鯨 肉
ミンク鯨、赤肉、生
牛 肉
和牛肉サーロイン、赤肉、生
豚 肉
大型種豚ロース、赤肉、生
鶏 肉
成鶏肉もも、赤肉、生



  PCBs (ppm) 総水銀量 (ppm)   メチル水銀 (ppm)
部位 筋肉 脂皮 筋肉 脂皮 筋肉 脂皮
ミンククジラ
(南氷洋)
 0.0002 0.058 0.027 NA NA NA
ミンククジラ
(北西太平洋)
0.03 1.8(注1)  0.20 0.0 0.12 NA
ニタリクジラ
(北西太平洋)
 0.02 0 0.05 NA 0.03 NA
 注1:暫定的規制値を越える数値  NA:未分析


  部位 PCBs (ppm) 総水銀量 (ppm)  メチル水銀 (ppm)
ミンククジラ
(南氷洋)
赤肉 0.01 0.03 0.02
畝須/ベーコン 0.04 0.01 0.01
脂皮(塩漬け) 0.04 n.d. n.d.
尾羽(オバイケ) n.d. n.d. n.d.
内臓(胃袋) 0.03 n.d. n.d.
ミンククジラ
(北西太平洋)
赤肉 0.08 0.08 0.04
ニタリクジラ
(北西太平洋)
赤肉 n.d. 0.04 0.03
n.d.:不検出

データについては詳しくは厚生労働省のホームページをご覧下さい。
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/01/h0116-4.html